機械加/工の知識//がやさし/くわかる本
アウトプットも兼ねて本の概要をブログに書くことにした。
【概要】
良書である。
一般的な機械加工について広く浅く網羅している。メーカーで働き始めたけどそういう知識が疎い文系でも理解できると思う。個人的に
・コストという観点からの材料選定のイメージ
⇨極力市販品から切り出せるような寸法で設計する、四角形状より円形状の方が加工が少なくて済む、等
・図面の書き方のポイント
⇨段付き隅部のR加工の寸法指示は「0.5以下」のように「以下」をつけることで加工者に工具の選択の幅を持たす、溝は軸につける、等
という実務に直接的に役立つポイントも押さえているというのが良かった。
【内容】
全体
・切削加工:旋盤、フライス、穴あけ、研削
・成形加工:板金加工、射出成形、鍛造、圧延、鋳造
・接合加工:溶接、ろう付け
・熱・表面処理
の5種類に分け、それぞれの特徴について始めの章で概要を記している。その後の章で各加工法の装置概要、加工内容、加工条件、図面作成時のポイントを記している。
切削加工
・旋盤、フライスの加工精度の目安は±20um、表面粗さはRa1.6
・ボール盤による穴あけの精度は±100um、表面粗さはRa6.3
・旋盤では軸と穴のはめあい部が長いと反り等の変形の影響を受けるので精度が必要な部分以外は逃げ加工を入れるのが良い。「逃げ深さ 0.5mm」のように図面には表示
・溝の加工は難易度と組み付け性を考えて軸に行う
・直径の4~5倍の長さのシャフトを加工するときは固定部とは逆の面にセンタ穴をつける。センタ穴をつけて良い場合は「センタ穴可」と図面に記入しておく
・NC機械は3軸より5軸の方が加工スピードが速い
・フライスでは隅部のR半径=エンドミル半径になるので、指定がない場合大きい数値で「R ◯mm以下」と記入しておくと加工者の時間ロスが減る
・Rをつけたくない場合は逃げ加工を実施し、逃げ加工不可能な場合は放電加工となる
・直角度を確保したい場合は直角度が必要でない部分に逃げ加工をする
・ボール盤での穴あけの場合は、キリ=ドリル直径
・穴の深さはドリル直径の4~5倍くらいまで。5倍以上の場合は太いドリルで初めに逃げ加工をする
・はめあい交差は穴基準でする。軸の方が旋盤で加工するのでドリルで加工する穴より加工の調整が容易であるため
・研削はホーニングという高精度研削でRa0.1~0.4um。さらに高精度にする場合きさげになる
成形加工
プレス打ち抜きと曲げについてのみ抜粋
・打ち抜きのパンチとダイの片側クリアランスは板厚の5~10%。硬いものは大きめ、軟らかいものは小さめに取る
・最小曲げ半径=板厚。こちらも寸法指示に「以下」の文字を書いておき加工マージンを持たす
・大きい板金は材料取りの際の精度が良くないので交差を数mm程度取っておく
接合加工
・溶接はコストが安く接合性が良いが、寸法精度は良くない。
・溶接はガス溶接と電気溶接(アーク溶接と抵抗溶接)がある
・ろう付け≒はんだ付け。微細なものや異種金属複雑形状でも接合可能
・レーザー加工は微細加工で使う
・放電加工は高硬度で形状が複雑なものでも精度よく製作できる
熱・表面処理
・材料の機能強化
・熱処理はお馴染みの焼き入れ(硬く・粘り強くする)や焼きならし(組織の平準化)、焼きなまし(軟らかくする)
・浸炭や表面焼き入れという特定部分の機能強化の手段もある
・サビ防止等の理由でメッキも利用する
・鉄鋼系は黒染め、無電解ニッケル、硬質クロム(硬くて耐摩耗性が良い)、フッ素樹脂含浸無電解ニッケルメッキ(テフロン入りで離型性良い)
・アルミ材料へのメッキは、アルマイト(酸化被膜)、硬質アルマイト(耐摩耗性良い)、フッ素樹脂コーティング(タフラム)